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マイオドンティクス(咬合治療)から見た床矯正治療10

Photo 左の本を参考にしながらマイオドンティクス(咬合治療)から見た床矯正治療について述べたいと思います。

この章は床矯正治療を行うものにとっても大変参考になるものである。出生から死に至る生物的現象を通して、どのようにしてヒトは顎口腔系の生理的構造を獲得してくるかを述べている。しかもその顎口腔系の生理的構造は、整合性を持ち身体諸機関の恒常性を維持することに欠かせないものである。

私が所属している取り外し式床矯正、SH療法研究会では歯列不正を治すのは当然であるが、顎口腔系の正常な機能をつかさどる構造とは何かおも考えて治療を進めて行きたいと考えている。

 

 正常の概念と正常の崩壊

 出生から死に至る生物的現象を通して

①自然咬耗咬合の有意義性はある。しかし現実には人の歯牙は無咬頭では萌出してこない。マイオドンティクスでは、フォードのいうように咬頭と窩の関係、そしてスピーのカーブを成長のための因子として考える。

 咬頭と窩の関係は側方への環境因子として大きく関与し(図Ⅰ-27)、歯列全体としてのカーブは前方への環境因子として大きく関わる(図Ⅰ-28)。また自然咬耗咬合をしていく過程は発育とともに情緒的な発達のために重要である。生理現象としての自然咬耗咬合の成り立ちを出生から成人に至る期間で考えてみると、身体の発育発達と口腔内の発育が非常に関連があり、整合性を持って成長していくことがわかる。そのために図Ⅰ-29のスキャモンの成長曲線の特に身体系の発育カーブを参照して述べていく。

Q2

図Ⅰ-27 側方彎曲は全体として側方へ拡大する力となる。

 

Q1

図Ⅰ-28 スピーのカーブは全体として前方へ拡大する力となる。

 

Q3

図Ⅰ-29 スキャモンの発育曲線、身体系には成人するまでに2回の成長期があることが分かる。

つづく、、、、、、

歯を抜かない取り外し式歯科矯正については熊坂歯科医院(埼玉県さいたま市浦和区)のホームページを御覧ください。

『熊坂歯科医院の歯を抜かない床矯正(Star Hill Therapy)』ブログにはSH療法の症例写真が載っています。

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マイオドンティクス(咬合治療)から見た床矯正治療11

Photo 左の本を参考にしながらマイオドンティクス(咬合治療)から見た床矯正治療について述べたいと思います。

正常の概念と正常の崩壊
出生から死に至る生物的現象を通して

②ヒトが直立二足歩行になって他の哺乳類と大きく変わった点の一つに産道の位置の変化と上半身を支えるために骨盤が大きくなり、さらに胎児の頭が他の哺乳類と比べて非常に大きく難産になったことが挙げられる。そのため出産に対しての調節機能がいくつかある。たとえば、胎児が産道をと通り抜けるために頭部の容積を小さくしようとする頭部応形機能といったものが備わっているし、また下顎は安産を目的とした後退位をとり、狭い産道を通る際に最大限に頭部を小さくし出産に対する形態的な適合を得るようになっている
(-30)

 そしてこのような下顎後退位という出生変異から新生児の下顎は本来の位置を取り戻すべく生理的な保乳行為が始められる。これは、出産と同時に上がった第一声、すなわち第一呼吸である産声としての呼吸中枢の覚醒と同じくらいの重要性を持つものである。新生児は探索反射によって盛んに乳房を求め、さらに乳首にすいつき吸綴反射を起こす。最初の48時間ぐらいは母乳が出ないが、乳児は哺乳力を高め乳首の根元を痛いほど締めつけるようになる。この時の下顎は後退位から前方位をとるようになり(図Ⅰ-31)、しかもそれは呼吸作用に対しても有効に働くようになってくるのである。ちなみに乳幼児は、成人と違い、呼吸しながら授乳することが可能である。このように哺乳行為は将来の下顎を位置づけ、筋力を高めそして呼吸、さらに、母親と感情を一体にした情緒発達の最初として非常に重要な行為であり、射乳反射は真に母と子の共同作業となる。(図Ⅰ-32)

 一般に乳汁の分泌には、脳下垂体前葉から出るプロラクチンが乳腺の腺腔に作用することが必要であり、プロラクチンの分泌は母親の精神的な安定が必要である。この乳汁の分泌が本格的になるのに出産後48時間ほどかかるが、実際に乳児が乳首を吸うという吸入刺激が必要である。この刺激は、下垂体後葉を刺激してオキシトシンの分泌を促し、乳腺腺腔周囲の筋上皮を収縮させる働きを持っており、また、この刺激によってプロラクチンの分泌も盛んになり、母と子が一体となって哺乳行為をしていくことになる。この一体感は、情緒発達の最初として重要なばかりでなく、下顎を出生のための後退位から前方位へ修正し、機能的に発達していく第一歩としても重要である。

 また、吸運動は口腔内に陰圧機構をつくって吸入すると同時に舌や顎の運動による乳房や乳首の圧出機構とによって行われる。このことは、舌、顎、頬の筋肉を十分に発達さあ得ることなり、正常な咬合への第一歩となる。さらに乳汁は一回の哺乳の間にその濃度とphが変化し、風味が変わることを乳児は体験しながら食欲をコントロールすることを体得させていくと考えられている。

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C2

 

C3

つづく、、、、、、

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マイオドンティクス(咬合治療)から見た床矯正治療12

Photo 左の本を参考にしながらマイオドンティクス(咬合治療)から見た床矯正治療について述べたいと思います。

 正常の概念と正常の崩壊

 出生から死に至る生物的現象を通して

 

さて、図Ⅰ-29の身体系のカーブにあるように、成長には二つの大きな時期がある。すなわち04歳の時期と1218歳の時期である。口腔においては最初は乳歯列が完成していく時期であり、2回目は永久歯列が完成していく時期である。成長の緩やかな時期は、混合歯列気である。

 哺乳行為で本来の位置づけをされ、筋力も十分に高められた下顎は、12歳の間に乳歯を放出し、3歳で乳歯列を完成する。初期の乳歯顎は咬頭と窩の関係が成立し、発育のための環境因子となる。この時期までの身体系の発育量はスキャモンの図によると40%にも達する(図Ⅰ-32)。そして、哺乳で十分に筋力を高められ、100日目のお食い初めのころから乳前歯萌出期にかけて活発に固いものを噛もうとし、またよく歯固めが行われた顎は、乳歯列が完成する前から固い食物を咀嚼(引き裂き、砕き、すりつぶし)し、第一次消化が十分なされ、嚥下するようになる。この臼磨運動は左右の筋が均等に受け持ち、水平面に沿った乳歯列が早い時期に完成する(図Ⅰ-33)

 36歳の身体系の発育量はわずか数%に過ぎない。

 口腔は左右均等に咬耗した咬合平面を持つ乳歯列により自由に運動をし、さらに筋力を高めていく。この時期はハードウェアの発育が行われる時期と違い、生体は生理的に安定し、むしろソフトウェアの部分が発達する時期であり、ストレスのない咬合と相まって知能や情緒が発達する。さらに下顎は前方移動により切端咬合を呈し、口蓋咽頭部は、パスウェイとして十分に生理的な容積を有する。機能し咬耗することにより歯質も丈夫となり、齲蝕のない健全な口腔が存在し、さらに自由な咬交は6歳臼歯をマイナーに適正位置に導いてく。これはその後萌出してくるすべての永久歯について当てはまる。(図Ⅰ-34)

 36歳の身体系のカーブは引き続き緩やかである。この時期は混合歯列の時期であり、口腔内は一見ダイナミックに変化していくように見えるが、咬耗された乳歯列を持つ顎においては、萌出してくる幼弱永久歯を暫時交換させながら下顎の位置づけを保ち、その交換はスムーズである。そして幼弱永久歯列が完成する。この幼弱永久歯列は、咬頭と窩で噛み合うが、萌出順位にそって左右均等にある程度の咬耗があり、成長の第二段階でのガイドとなる。混合歯列の初期から中期にかけても、ハードな部分より、むしろソフトな部分が発達する時期であるが、幼弱永久歯列の咬頭と窩の関係により、後半になるに従い、徐々にダイナミックに変化していく。

 1218歳ごろの身体の発育量は全体の40%以上を示し、口腔内も成長のための環境因子としての咬頭と窩、スピーのカーブを有していく(図Ⅰ-35)

 この時期の情緒はむしろ不安定である。口腔内は永久歯列で弱若咬耗をきたしており、出生より高められた筋力と、自由な運動が可能な顎は、引き続き咬耗を起こし、咬頭と窩の関係、スピーのカーブは成長とともに消失し、約20歳で成人し、発育が完了した時点で、成長のための必要があった環境因子は消失し、咬合は水平面にそって左右均等に咬耗した咬合平面とともに中立化する。同時に左右筋群は、バランスを保ち、前方移動した下顎位は顎関節を平坦にし頭部より保護する形態をつくり、口蓋咽頭部を十分に広げ、口腔容量を適正に保つこととなる。

したがってこのように機能することによってつくられた0°平面として中立化した咬合は、ヒトの一生の中で重要な咀嚼器官としてその機能をまっとうし続ける。これらの過程は、自然の調節機構としての働きであり、これにより身体各部は整合性を持って恒常性を維持していくことが可能となる。すなわち顎口腔系の発育発達における正常像である。図Ⅰ-36はヒトの口腔の生物的現象を模式図としたものである。

しかるに現代人口腔では全く反対の様相を呈していく(図Ⅰ-37)。これは多分に最初の出発点としての保育、離乳時期の子育てに原因することが多い。

たとえば、逆さまにしてミルクが出てしまうような人口乳首に母親の乳房、乳首の代わりをすべて任せてしまうと、乳児は吸啜運動において、将来のためにも必要な陰圧機構をそれ程必要とせず、また舌や顎による圧縮機構も必要としないか、非常に弱いものとなり(図Ⅰ-38)、下顎位を含めて筋力、情緒発達といった乳児が成長していくのにもっとも大切なものが失われる危険性がある。ミューラーは、図Ⅰ-39に示すように、この危険性の実際として舌下垂症候群として様々な病態を掲げている。

 さらに、子供たちがのびのびと遊べる環境空間がなくなってきたことも起因する。哺乳の時期に十分に乳房の恩恵を与えられず、離乳食期の柔らかな食事ばかりが乳歯列完成後も続くと、咬耗させるだけの筋力もなく、下顎は後退位のままでさらに舌の運動不足による咀嚼・嚥下障害を持つ子供たちが出現する。咬耗現象の見られない顎は、小窩裂溝、隣接面齲蝕を多発させることとなり、拡大する歯列弓は咬合口径の低下を招き、その力パターンは骨の添加と吸収の枠をこえ、歯牙は脱落し、口腔は崩壊していく。下顎は前方へ移動することができず、咽頭、頸部を中心に様々な病態をつくり出していく。

 齲蝕のコントロールされた顎でもそこに隠された病態までを取り除くことはできず、過蓋咬合、低位咬合といった関係は子供にさえ成人に似た病態を作り出す。子供たちにとって身体を十分に動かすことのできない環境は外的因子として、発育ばかりか発達にも大きな問題を投げかけてくる。咬合平面は後天的な因子により左右非対称となり、口腔は三次元的に崩壊することになる(図Ⅰ-4041)。すなわち、下顎頭の後上方への移動である。また顎の変位である。この崩壊は齲蝕の有無にかかわらず起こってくる。特に近年口腔衛生の普及はめざましいが、そのために我々自身がその徴候(signe)を見落としてしまうところに問題がある。そしてその徴候は口腔領域よりもむしろ口腔領域外の症状を持つものが多く、普通は歯科以外の他科へ行くことになり、顎関節、咀嚼筋等に痛みとしての症状を訴えてくる場合は、既に全身的に多くの問題を含んでいる場合が多い。A11

 

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図Ⅰ-39

  

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私が床矯正治療で可能と思っている事柄

  1. 正常な咬合高径(噛み合わせの高さ)に回復することができる。
  2. 舌を正常な位置に置けるようにすることができる。
  3. 下顎を本来の位置である前方位に誘導することができる。
  4. このことは咽頭、喉頭部容積の増加になり、鼻呼吸獲得にもつながる。
  5. そのヒトの年齢に合った噛み合わせにすることができる。

以上のことで顎口腔系において整合性のある咬合及び生理的構造が獲得でき、そのことは全身諸器官の恒常性に通じる。

つづく、、、、、、、

熊坂歯科医院(埼玉県さいたま市浦和区)では歯を抜かない取り外し式歯科床矯正を行っています。興味のある方は熊坂歯科医院ホームページを御覧ください。

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マイオドンティクス(咬合治療)から見た床矯正治療13

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この症例を見てください!

上顎前突、歯も大きい。

一番診てもらいたいのは上顎左右2番が下顎をロックしていて、ガッチリ臼歯部の咬頭と窩が噛みあっている点です。咬合高径も低く、舌もきつそう。下顎が後方へ移動圧迫まではしていないかもしれませんが、生理的な下顎の前方誘導は阻害されていると思います。この患者さん、口を閉じようとしても上顎前歯が少し出てしまいます。

現在(H21.9.6)ではかなり上顎前突状態が改善しました。最近ではスライデックス(SlideX)付のSH装置を使えるのでこのような結果を得ることができます。
機会があったら写真を載せます。

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Photo 左の本を参考にしながらマイオドンティクス(咬合治療)から見た床矯正治療について述べたいと思います。

 U.T.M.S.

舌、口蓋垂不正姿勢症候群

 コステンは、1934年にコステン症候群を発表して以来、顎関節の機能異常に基づく症状について耳鼻咽喉科の立場から歯科学に対し問題を投げかけてきた。しかし彼の報告した様々症候の原因のほとんどを顎関節の機能異常として捉え、さらに治療として咬合の挙上を推奨したが、顎関節の機能異常による症候としては説明のつかない解剖学的、生理的問題を含んでいたため、今日の歯学において否定的である。

 しかしながらクーパーマンは、コステインの優れた研究結果を研究し、1955年にHIP-Planeを発見し、マイオドンティクス理論を発表した。クーパーマンの理論背景の中でも特に診断に対するところではコステンとの出会いが非常に大きなものとなり、さらにクーパーマンは三浦や他の共同研究者等とともに、コステイン症候群を顎関節の機能異常を含んだ口腔の三次元的崩壊による、口蓋垂と舌の不正姿勢による症候群として発展させ、新しく発見された呼吸器系疾患、神経内科、神経耳科的疾患から来る症候を含めてU.T.M.S.(Uvra-Tongue-Malposture-syndrome=Coo-perman-Miura Syndrome)として1977年に発表した。

この舌と口蓋垂の不正姿勢による症候群の原因は、口腔の三次元的崩壊である。これには単に咬合が低位になるだけではなく、重要なことは、下顎の後方圧迫である。下顎が後方へ移動圧迫することによって、舌背が口蓋垂と衝突するようになり、過敏症を引き起こすことになり、さらに口咽頭部における呼吸、消化のための空間を狭くし、さらに呼吸、嚥下、副鼻腔耳管に対する生理的、解剖学的な問題として現れてくる。もちろん、それらは神経学的徴候を生じさせると同時に機能的な問題をも生じさせられる。下顎の後方移動はコステインがいうように当然、下顎頭の後方圧迫を強いるようになるが、コステインの示した様々な症候の内の幾つかは、本来、咽頭喉頭部に問題があって生じたものであって、顎関節からきたものではなかったのかもしれない。そしてそれが今日コステイン症候群を否定的にさせる原因となっている。下顎の姿勢が不正になることは全身の姿勢を悪くすることにもなり、現在、U.T.M.S.は単に口腔、口腔周辺組織に止まらず、全身的病態を生じさせる症候群として注目されている。

この症候群の治療法としては、単に咬合を挙上するだけでなく、下顎が生理的に前方移動するような装置が必要である。そして下顎を正しく前方に誘導していくためには、左右の相称が必要であり、機能平面としての0°平面が必要となる。そして、その個体本来の姿勢を探り出していく術式がマイオドンティクス独自のフリー・ウェイ・ゾーンの計測である。

床矯正治療においても、咬合口径が増し下顎が生理的に前方に移動させることができる。しかも、口腔内容積を増加させることにより舌の尖端を口蓋前方部におくことができ、つまり、床矯正治療によって下顎の後方圧迫を予防できるのではないかと考えている。

以上で カテゴリー:咬合治療からみた床矯正 を終了とする。

熊坂歯科医院(埼玉県さいたま市浦和区)では歯を抜かない取り外し式歯科床矯正を行っています。興味のある方は熊坂歯科医院ホームページを御覧ください。

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